模型製作 IK邸 E案 

       模型の製作過程を見せてしまいます。
       最近計画したIK邸の模型です。
       残念ながら諸般の事情で、実施にはいたりませんでした。
       E案とH案の二つの模型が残りましたので、ここに発表です。
       模型製作に興味のある方に役立っていただけるか、
       あるいは我々設計者が何を考えて模型を作っているかなど、
       気づいていただけるとありがたいです。
       縮尺「百分の一」の、比較的ラフなスタディ模型です。

 平図面と立面図をプリントして、
 各階床と外壁を作る準備をします。
 1、2階床をスチレンペーパーに貼ります。
 水性糊は乾くと、反ってしまうので避けます。
 もっぱら、両面テープを使っています。

 立面図を貼って、外壁の準備です。
 厚さ 1.5mmか 2.0mmの
 スチレンペーパーを使います。
 床をカットします。
 壁の厚み分を見込んで切り落とします。
 スチレンペーパーをシャープに切るには、 
 カッターの刃を絶えず新しくするようにします。
 オイルで刃を拭くのも効果的です。
 いろいろと、工夫とテクニックを要します。

 外壁は小さい窓から先に、切り込んでゆきます。
 角が、アマクならないように注意します。

 細い部分はなるべく後にまわします。
 型紙の立面図がバラけるのを避けます。

 最後に壁の外形を切り落として、
 四面の外壁が完成です。

 床と壁が出来ました。
 次に、敷地を用意します。

 敷地と、道路の型を作ります。
 今回は「ありあわせ」材料の利用です。
 ダンボールを使いました。
 「ありあわせ」といっても、ダンボールは
 とても利用価値があります。
 部位によっては、雰囲気作りに
 おおいに役立ちます。

 壁の突合せ部分は、スチレンペーパーの
 外側の紙一枚を残して、カットします。
 突合せ部分がうまく貼り合せられると、
 リアルな外壁が出来上がります。
 全て材料が用意できるまで、接着はしません。
 接着する前に必ず組み立てて、長さ、高さの
 狂いがないかをチェックします。
 足りない材料があれば、用意します。

 材料が揃ったら、接着をはじめます。
 1階の床の次に、2階床を組み込みます。
 接着剤は少なめのほうが、きれいに
 仕上がります。 
 ですが、模型とはいえ、それなりの
 強度は確保しないといけません。
 刃先のシャープなカッターもあります。
 模型作りには用意したいものです。


 当然ピンセットも必要です。
 内部の細かい部分を作ってゆきます。
 今回は「百分の一」の縮尺なので、
 主要部分壁や、手摺程度です。
 コンパスやディバイダーも、
 あると便利な道具です。
 模型を作りながら、スタディを行います。
 模型はお客さんに見せるためというより、
 設計者の検討用でもあります。
 むしろその役目のほうが大事と言えます。

 ファサード部分を、スタディしながら
 決めてゆきます。
 アクセント部分には
 カラーペーパーを利用します。

 外壁と床が組みあがったら、
 屋根を取り付けます。
 外部にルーバーを付けたいので、
 今回は材料に、塩ビ板とスクリーントーンを
 用意しました。
 縦のルーバーのイメージが出来上がりました。
 連続するバルコニーの手摺も
 同じ素材としました。

 左に見えるバルコニーは、
 大きく開口をとっています。
 この家の一番のビスタ確保の場所です。
 敷地に固定して完成です。
 東側全景です。
 南側ファサードです。
 外部ルーバーと縦の壁がアクセントです。




H案にゆく